3つの数値と、1回の割り算
凍結乾燥されたペプチドのバイアルの中身は粉末です。静菌水で溶かしてできる溶液の濃度は、バイアルに記載されたペプチドの量と、加えた水の量の2つだけで決まります。U-100インスリン用シリンジは単位で目盛りが振られていて、100単位が1 mLなので、濃度がわかれば、マイクログラムで表した用量をシリンジの目盛りに換算できます。
濃度(mcg/mL)= バイアル内のペプチド量(mcg)÷ 加えた水の量(mL)
吸い上げる単位数 = 用量(mcg)÷ 濃度(mcg/mL)× 100
言い換えると、1単位に含まれる量は、濃度を100で割った値です。シリンジのサイズは計算には影響せず、1回で吸い上げられるかどうかを決めるだけです。
用量はあなたが入力する項目で、計算ツールが自動で入れることはありません。用量は、あなたと処方した医師とで決めるものです。ツールが行うのは換算だけです。
U-100シリンジとそのサイズ
「U-100」とは、1ミリリットルあたり100単位の液体に合わせて目盛りが振られているという意味です。よく使われる3つのサイズは容量が違いますが、目盛りの尺度は共通です。
| シリンジ | 容量 | 主な目盛り |
|---|---|---|
| 0.3 mL | 30単位 | 1単位ごと(0.5単位ごとのものもあり) |
| 0.5 mL | 50単位 | 1単位ごと |
| 1 mL | 100単位 | 2単位ごと |
小容量のシリンジほど、同じ単位数でも目盛りの間隔が広くなるので、少ない量なら1 mLより0.3 mLのシリンジのほうが目盛りを読みやすくなります。計算ツールのシリンジ設定では、吸い上げる量を容量と照らし合わせ、収まらない場合はそう表示します。
計算を確かめる
例:5 mgのバイアル、水2 mL、用量250 mcg。
5,000 mcg ÷ 2 mL = 2500 mcg/mL。つまり1単位に25 mcg
250 ÷ 2500 × 100 = 10単位(0.1 mL)
このバイアルには、この用量が20回分入っています。水を3 mLにすると溶液が薄くなるので、同じ用量が15単位になります。これはきりのいい数字を使った計算例であり、用量の目安ではありません。
逆方向の計算も同じです。10 mgを1 mLの水で溶かした場合、0.5 mLのシリンジで8単位まで吸い上げると、800 mcg(0.8 mg)が含まれます。8単位は、10 mg/mLの溶液の0.08 mLにあたるからです。
加える水の量
水を多くすると溶液は薄くなり、同じ用量でも吸い上げる量が増えます。水を少なくすると溶液は濃くなり、吸い上げる量は減ります。どちらも用量そのものは変わりません。ここから、実用的なルールが2つ導かれます。
- 読み取れる量を目安に。2単位未満は、どのシリンジでも正確に測るのが難しくなります。計算ツールでごく少ない量が表示されたら、次のバイアルでは水を増やしましょう。
- シリンジの容量内に収める。吸い上げる量がシリンジの容量を超える場合は、水を減らすか、大きいシリンジを使ってください。
入れられる水の量はバイアルの大きさで決まり、小さなバイアルの多くは1〜3 mLなら無理なく入ります。どの量にするにしても、バイアルに書いておき、ペプチド量が同じバイアルを溶かすときは毎回同じ量を使ってください。そうすれば、シリンジの同じ目盛りが、いつも同じ用量を意味します。静菌水は、保存剤として0.9%のベンジルアルコールを含む複数回使用の希釈液で、ラベルには新生児には使用しないよう記載されています。
複数のペプチドを含むバイアル
ブレンドとは、1つのバイアルに複数のペプチドが入ったものです。たとえば2種類が10 mgずつ、合計20 mgといった具合です。バイアルの含有量には合計のミリグラム数を、用量には吸い上げたい合計の量を入力します。各成分は、バイアル内の決まった比率のまま一緒に吸い上げられます。1回分に含まれる成分ごとの量を知りたいときは、吸い上げた量に、その成分が合計に占める割合を掛けます。10 + 10のバイアルなら、どれだけ吸い上げても、その半分ずつが各ペプチドです。
計算のそばに、スケジュールも
単位の計算は簡単な部分です。わからなくなりがちなのは、それ以外のこと。どの日に使ったか、どの部位か、何をスキップしたか、体調はどうだったか。BrolicのProtocols(プロトコル)は、自分で入力したペプチド、GLP-1、TRT、サプリメントのルーティンを、リマインダー、必要時の記録、注射部位のローテーション、症状のメモとともにひとつのタイムラインにまとめ、その日の食事やトレーニングと並べて表示します。記録専用のアプリです。Brolicが用量、部位、スケジュール、薬剤を推奨することは一切ありません。
バイアルに何かを入れる前に、もうひとつ知っておきたいことがあります。米国FDAは、BPC-157、TB-500、CJC-1295、イパモレリン、GHK-Cuなど、ネットで販売されている多くのペプチドを、調剤に使った場合に重大な安全上のリスクをもたらすおそれのある原薬に挙げています。また、「研究用(for research use only)」と表示された製品は、承認された医薬品ではありません。リストへのリンクは、下の出典にあります。
よくある質問
なぜ一般的な用量を自動で入力しないのですか?
用量を決めるためのツールではないからです。ツールが数値を示せば、何も知らない薬剤と人に向けた推奨になってしまいます。指示された用量を入力すれば、それを換算するだけです。
シリンジのサイズで、吸い上げる単位数は変わりますか?
変わりません。単位はどのU-100シリンジでも同じで、100単位は常に1 mLです。サイズによって変わるのは、1回で収まるかどうかと、目盛りの読みやすさだけです。
バイアルはミリグラム、用量はマイクログラムで表記されています。どちらで入力すればいいですか?
それぞれ表記されている単位のまま入力し、単位の切り替えをそれに合わせてください。換算は計算ツールが行います。1ミリグラムは1,000マイクログラムです。
用量がシリンジの容量を超える場合は?
結果にそう表示されます。次のバイアルは水を減らして溶かし、同じ用量で吸い上げる量を少なくするか、大きいシリンジを使ってください。収めるために用量を変えてはいけません。
GLP-1のバイアルやインスリンにも使えますか?
決まった量の液体で溶かし、U-100シリンジで吸い上げる粉末なら、計算方法は同じです。メーカーのペン型製剤やプレフィルド製品には、製品ごとに用量の指示があります。計算ツールではなく、その指示に従ってください。
出典と方法
Brolicチームが執筆しました。以下の資料は根拠と前提を説明するものです。このページは、個別の専門的な助言に代わるものではありません。
- Bacteriostatic Water for Injection, USP — 添付文書(Hospira、Pfizerグループ) — 保存剤として0.9%ベンジルアルコールを含む、注射用薬剤の希釈・溶解に使う複数回使用容器。新生児には使用しないこと。
- Syringe, U-100 insulin, 1 mL — 国境なき医師団(MSF)医療カタログ — U-100インスリン用シリンジの仕様:1 mLを100単位で目盛り付け。
- Certain bulk drug substances for use in compounding that may present significant safety risks — 米国FDA — BPC-157、TB-500、CJC-1295、イパモレリン、GHK-Cu、MOTS-cなどを掲載。最終更新は2026年4月22日。